みなさんは中野京子さん著書の「怖い絵」という本はご存知ですか?
↓これね。
なんだか印象的な表紙ですよね、これ。絵的には別にグロテスクではないし、どこが怖いんだろう・・・?って気になるこの感じ。
こちらの「怖い絵」は美術書としては異例の大ヒットをしており、本屋さんでもよく平積みされているので、一度は表紙を目にしたことがあるのではないかと思います。
「怖い絵」展が開催中
実は、現在この「怖い絵」シリーズで紹介された絵画、版画などを集めた展示、「怖い絵」展が開催されております。
展示の内容は全部で6章に分かれており、1章は「神話と聖書」、2章は「悪魔、地獄、怪物」、3章は「異界と幻視」、4章は「現実」、5章は「崇高の風景」、6章は「歴史」となっています。
会場と日程はこちらにも一応書いておきますね。兵庫県と東京で開催しますよ。
兵庫会場 | |
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会場 | 兵庫県立美術館 |
会期 | 2017年7月22日(土)~9月18日(月・祝) ※月曜休館(9月18日は開館) |
東京会場 | |
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会場 | 上野の森美術館 |
会期 | 2017年10月7日(土)~12月17日(日) ※会期中無休 |
と、いうことで私、初日から行ってまいりました!
怖くないけど怖い
「怖い絵」展は私が今まで見てきた展示の中でも圧倒的に文字を読んだ展示でした。
私はちょこちょこ美術館に足を運んでいる方だとは思うんですが、今回の展示ほどキャプションを読んだ展示はなかったです。
「怖い絵」って、一体どんなものだろう・・・ってワクワクしながら行ってきたんですが、展示されている「怖い絵」はグロテスクを全面に押し出したものばかりではなく、一見穏やかに見えるものも多くありました。(別にグロテスクを期待して行ったわけではないですよ)
と、いうか、パッと見て何が怖いのか理解できないので逆になんでこれが怖いのかを知りたくなるんです。まあ、中には一目見て「あ、これあかんやつ」っていうのも有るは有りますが。。。
そのため、絵画を見ただけでは得られない「怖さ」を求めてキャプションを読み、もう一度絵画を眺めて、その作品の持つ仄暗いバックグラウンドを想像してゾワッとする。そんな体験ができる展示でした。
普通の展示だとほとんどの場合は作品の前に人が集まると思うんですが、「怖い絵」展では会場にいる人たちのほとんどがキャプションの前に集まっていました。みんなしっかり文字を読むので、一つの作品の前で立ち止まる時間が通常よりもずっと長かったように思います。
この展示で特に印象深かった作品はやっぱりポール・ドラローシュの「レディ・ジェーン・グレイの処刑」です。こちらの作品は「怖い絵」シリーズの「泣く女編」の表紙でも使用され、展示の広告でも大々的に使用されています。
実物の絵画は縦2.5メートル、幅3メートルと、とても大きく迫力がありました。質感が本当にリアルで、私の稚拙な表現ではその作品の凄さを表現することはできないんですが、かなり惹きつけられるすごい作品でした。紙やwebでは感じられない迫力なので、絶対実物を見た方が良い・・・!
最後に
この展示の面白さは、「怖さ」ではなく、めっちゃくちゃ知的好奇心を煽ってくるところだと思います。
絵画を見た時の「どうして怖いの?」という気持ちが絵画への興味を掻き立ててくれるので、普段美術館へ足を運ばない人や絵画の知識がない人でも十分に楽しめるかと思います。是非行って欲しいです!
おまけ
展示初日ということもあり、物販エリアの片隅でスタッフたちが指導されているところを目撃しました。
指導係の人が物販のカレンダーを持ちながら
「このカレンダー、このように真っ黒なので予定が書き込めない仕様になってます。」
と説明し、それを聞いていたスタッフ4、5人が
「こわ〜い!!」
と声をあげていました(笑)
物販も非常に面白いものが多かったので(「白い恋人」ならぬ「黒い恋人」とか)、是非楽しんでください!